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目次
工場には「クリーンルーム」という設備を設置しているところがあります。
ただ、クリーンルームがどのような目的で使われるのか、あまり知られていない場合もあります。クリーンルームとは、特定の条件を満たした清潔な環境を維持するための設備です。この設備は、電子機器や精密部品の製造工場だけでなく、食品工場など幅広い業界で活用されています。ここでは、クリーンルームの役割やその使い道、似たようなもので異なる、「ファクトリーブース」や「プレハブ」との違いについて説明します。
クリーンルームは防塵室とも呼ばれており、その基準を満たすには、細かい定義や原則などがあります。
クリーンルームは、工場や医療機関など、清潔な環境を必要とする場所に導入されています。
クリーンルームの定義は、「空気中に浮遊している微小粒子や微生物などが、限定された清浄度のレベル以下に管理されている状態を保っている空間」です。
この定義に沿うためには、クリーンルームに持ち込む材料や薬品など、あらゆるものに付着している不純物、ごみを取り除くことが不可欠です。
一般的に、クリーンルームには清浄環境を保つための4つの原則があります。ここでは、4つの原則を詳しく見ていきましょう。
クリーンルームの原則の1つ目は、異物を持ち込まないことです。
クリーンルームに作業員が入室する際、まず粘着マットや粘着ローラーを使用して衣服や靴に付着したごみを除去します。次に、エアーシャワーで全身に清浄な空気を吹き付け、目に見えない微細な異物まで徹底的な除去を行います。
これらの異物除去のプロセスは、作業員だけではなく、搬入する材料や機器にも適用されるのが特徴です。
クリーンルームの原則の2つ目は、異物を発生させないことです。
具体的な塵埃対策の一つに、作業員に専用のクリーンスーツの着用が義務付けられていることが挙げられます。このクリーンスーツは、糸くずが出にくい特殊な方法で作られているのが特徴です。
またクリーンルーム内では、ほこりやごみが発生しやすい材料や機器の使用が制限されています。他にも、作業員は専用のキャップや手袋の装着を徹底するなど、さまざまな対策を通じて作業対象物に異物が混入するのを防いでいます。
クリーンルームの原則の3つ目は、異物を堆積させないことです。
万が一クリーンルームの中に入り込んでしまった異物は、堆積させないことが大切です。そのため、クリーンルーム内は凹凸を少なくし、可能な限り清掃しやすいレイアウトにするなどの対策が講じられています。
クリーンルームの原則の4つ目は、異物を排除することです。
クリーンルーム内に異物が混入してしまった際、簡単に取り除ける仕組みを整えておくことが重要です。そのため、クリーンルーム内の換気システムや気流の流れをコントロールし、発塵付近で迅速に排気できるような仕組みを導入する必要があります。
クリーンルームには、大きく分けて2つの種類があります。ここでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
クリーンルームの一つに、微生物汚染を効果的に防止できる「バイオロジカルクリーンルーム」があります。
バイオロジカルクリーンルームの特徴は、通常のクリーンルームよりも厳格な微生物的清浄度が求められることです。そのため施設の管理者は、空気の清浄度に加えて、微生物レベルの管理を行います。
バイオロジカルクリーンルームは、一般的に医療機関の無菌治療室や手術室などに利用されています。他にも、バイオテクノロジーの研究者が、培養や発酵を行う過程で、微生物の混入を防ぐ目的で利用するケースも少なくありません。
このようにバイオロジカルクリーンルームは、医療機関や医薬品メーカーなどにとって、高い清浄度により安全性を確保する重要な役割を果たしています。
もう一つのクリーンルームは、精密機器製造に特化した「工業用クリーンルーム」です。
工業用クリーンルームの特徴は、高性能フィルターを用いて、空気中の微粒子を厳密に管理している点です。そのため施設の管理者は、空気の清浄度だけではなく、微粒子の量が適切な数値になるように管理しています。
工業用クリーンルームが利用されている例は、半導体や液晶、電子部品、基板、レンズ、フィルムなど、高度な清浄環境が必要な製品の製造工場です。またその特性から、宇宙開発分野の研究施設に導入されているケースもあります。
このように工業用クリーンルームは、高い清浄度が要求される精密機器の開発現場や、宇宙開発分野などに不可欠です。
クリーンルームの清浄度は明確な基準に基づいて分類されており、一定体積中に存在する塵埃の量を計測した結果から、クラスごとに分けられます。一般的に、このクラスの数値が小さいほど、清浄な環境を意味します。
このクラスは、2001年以降、国際標準化によりISO規格への統一が行われました。1m3当たりに含まれる0.1µm以上の微粒子の数を基に、指数を使って表されています。このISO規格をまとめた表は以下の通りです。
ISO14644-1:2015
清浄度クラス
測定粒経と上限濃度(個/m3)
0.1µm
0.2µm
0.3µm
0.5µm
1µm
5µm
1
10
2
100
24
3
1,000
237
102
35
4
10,000
2,370
1,020
352
83
5
100,000
23,700
10,200
3,520
832
6
1,000,000
237,000
102,000
35,200
8,320
293
7
352,000
83,200
2,930
8
3,520,000
832,000
29,300
9
35,200,000
8,320,000
293,000
※参考:ニッタ株式会社「クリーンルームの規格(ISO 14644-1:2015)」.(参照2024-12-17)
病院や医療施設に求められるクリーンルームのクラスは、1,000〜100,000(ISO 6〜8)に分類されます。
印刷や自動車部品など一般的な製造工場に求められるクリーンルームのクラスも、1,000〜100,000(ISO 6〜8)です。
食品・薬品・化粧品製造で求められるクリーンルームのクラスは、100〜100,000(ISO 5〜8)です。
精密機器製造で求められているクリーンルームのクラスは、100〜10,000(ISO 5〜7)です。
半導体製造では、クラス1〜100(ISO 3~5)とより高いクリーンルームクラスが求められています。
これは、ナノオーダーの加工が行われる現場で、集積回路や、蒸着、研磨に関して、レベルの高い塵埃管理が必要なためです。
クリーンルームの清浄環境を保つには、用途に合わせた気流の制御が重要です。ここでは、主な気流方式を3つ紹介します。
垂直一方向流方式は、天井から床へ清浄な空気を一方向で送り出す気流方式です。この方式では、天井に高性能フィルター付きの吹き出し口、床下に吸い込み口を設置して、空気の流れを制御しています。
垂直一方向流方式の特徴は、微粒子の拡散を抑制できる点です。そのため、ISO3~5クラスの高い清浄度を実現でき、半導体などの高度な清浄度が要求される製造工程にも対応できます。
水平一方向流方式は、吹き出し口の対面や天井に吸い込み口を設置して、清浄な空気を水平に送り出す気流方式です。
この方式は前述した垂直式と同じく、微粒子が拡散されにくく排出されやすい特徴を持っており、ISO3〜5クラスの清浄度を実現できます。しかし、垂直式に比べると、下流側では清浄度が低下しやすいなどの特性も持ち合わせています。
非一方向流方式(乱流方式)は、高性能フィルターを通した清浄空気を複数方向に送風する気流システムです。天井の吹き出し口から空気を拡散させ、下方の吸い込み口に向かって送風し室内の清浄度を維持しています。
この気流方式は、ISO6~8クラスの空気清浄度を実現できるだけではなく、自由度の高い設備のレイアウトが可能になります。作業領域や装置の配置を柔軟に決定でき、施設内のスペースを有効活用できるでしょう。
クリーンルームには「循環方式」と「オールフレッシュ方式」の2つの換気方式があります。
循環方式は、空調機を使用しているクリーンルームで取り入れられることが多く、調温された空気を循環させて換気を行います。そのため、省エネ効果が期待できるのが特徴です。
一方、オールフレッシュ方式は、部屋の空気を全量入れ替えて換気を行います。コストがかかりますが、臭気の強い作業場や、危険物を取り扱っている作業場などに適しているのが特徴です。
クリーンルームの換気回数は、換気の方式やISOの清浄度クラスによって異なります。
クリーンルームの換気は、清浄度のクラスを維持するために不可欠です。基本的な換気回数は、1時間当たりに室内の空気が何回入れ替わったかを示した数値で、換気回数=風量(m3/1時間)/クリーンルームの容量(m3)の数式で求められます。またISOの清浄度クラスに基づいた換気回数の目安は以下の表の通りです。
ISO清浄度クラス
換気回数
300回程度
80回程度
40回程度
20回程度
企業がクリーンルームを導入するメリットやデメリットには、具体的にどのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、それぞれのポイントを見ていきましょう。
企業がクリーンルームを導入するメリットには、主に「品質保証」と「生産性向上」の2つの側面があります。
品質保証の面では、国際規格に準拠した清浄環境で製品製造を行うことで、高い品質保証を実現できます。消費者からの信頼を獲得し、企業の社会的価値を高められるメリットが期待できるでしょう。
クリーンルームを設置すると、国際標準化機構によって定められたISO規格に準拠した清浄環境で企業活動を行えます。そのため、より清浄度の高い環境の実現と、社会的な信頼の獲得のためにクリーンルームの設置を検討する企業は少なくありません。
一方、生産性向上の面では、空気の清浄度を一定に保つことで、製品への異物混入のリスクを大幅に低減できるメリットがあります。品質管理がしやすいため不良品の発生率を抑制でき、工場の生産性と収益性の向上につながる可能性が高くなるでしょう。
このように、クリーンルームの導入は、品質保証と生産性向上のどちらにも大きなメリットを与えてくれます。
クリーンルームの導入のデメリットは、コストがかかる点や柔軟性が低下する点です。
一般的に、クリーンルームの建設には適切なスペースの確保や建築費用の捻出を含めた初期投資が必要です。またクリーンルームは、24時間体制の空調運転が必要なため、電気代が高額になります。さらに定期的なメンテナンスやフィルター交換など、継続的な運用コストも発生するため、コスト試算を慎重に行う必要があるでしょう。
他にも、クリーンルームの導入に伴い、作業員へ厳格な手順の遵守を求める必要もあります。その結果、作業の自由度や柔軟性が制限される可能性があることを意識しておくと良いでしょう。
クリーンルームの品質管理を行う際は、業務に従事する作業員の教育も重要です。
どれだけ気を付けて対策をしても、作業員の動作で首回りや襟口から微細な粒子が発生する「ポンピング発塵」や、まばたき、くしゃみや咳による発塵などは避けられません。またエアーシャワーなどの設備を使用しても、作業員のルール違反が起きると、室内の異物の量が急激に増加してしまう傾向にあります。
施設の管理者は、作業員に対してクリーンスーツの正しい着用方法などを含めた厳格なルール教育を実施し、継続的な意識付けを行うことが不可欠です。
「クリーンルーム」、「ファクトリーブース」、「プレハブ」は、それぞれ用途や特徴が異なります。以下に簡単に説明します。
それぞれの設備は、工場の用途や目的に応じて使い分けられています。もし具体的な用途やニーズがあれば、それに応じた選択肢を検討することが重要です。設置や費用、納期、不明点などがある方も、まずはパーテーションラボまでお問い合わせください。
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