オフィスや工場・倉庫、病院などの施設の新設や移転、改築に伴い、間口幅の広いドア扉の設置を検討している方もいるのではないでしょうか。

横スライド式のハンガードアは、広い開口部であることやスペースの有効活用ができることなどから、奥行きのとりづらいスペースにも適したドアです。ハンガードアを実際に設置すると、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。

本記事では、ハンガードアの設置を検討している方に向けて、ハンガードアの特徴や耐久性、メリット・デメリットを紹介します。設置の際の注意点も紹介するので、本記事を参考に、設置場所に適したハンガードアの導入を目指しましょう。

 

1.ハンガードアとは?

 ハンガードアとは、「吊り引き戸」とも呼ばれるドアの種類です。その名の通り、ドアのパネルを上から吊り下げて設置する構造になっています。

ハンガードアは、扉を引戸レールに吊り込み、横方向にスライドさせて開閉する仕様になっているスライディングドア(スライドドア)の一種です。手動式だけではなく、半自動式や全自動式など、さまざまなタイプがあるのも特徴です。

また上部のレールがドアの重さを支えているため、床にレールや溝を設ける必要がありません。そのため、設置やドアの開閉が容易で、スペースの有効活用にも役立ち、パーテーションのハンガードアはオフィスや工場、倉庫など屋内の施設間仕切壁の通行口に使用されています。

 

工場・倉庫の施工型パーテーションのスライドドア

 

2.ハンガードアと引き戸の違い

 ハンガードアと引き戸は、どちらも横にスライドして開閉する扉ですが、いくつかの違いがあります。

ハンガードアはドア枠の上部のみにレールが設置され、吊り下げ仕様であるのに対し、引き戸はドア枠の上部と床の両方にレールがあるのが特徴です。そのため、ハンガードアの場合は、床にレールや溝を設ける必要がありません。

住宅系の引き戸は、ふすまや障子など、古くから広く使われてきた扉です。非住宅系のオフィスなどではハンガードアのような上吊り式のドアが主流です。

 

 

3.ハンガードアの耐久性

 ハンガードアは、正しく使用すれば特に壊れやすいものではありません。上部のレールや金具は吊り下げることを前提に設計されており、通常の開閉では十分な耐久性を持っています。

ただし、衝撃には注意が必要です。下部に固定レールがないため、強くぶつかると揺れが生じ、繰り返すことで金具やレールの劣化を早める可能性があります。

 

4.ハンガードアのメリット

 オフィスや施設などにハンガードアを設置すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

ここでは、ハンガードアを設置するメリットを4つ紹介します。

 

デッドスペースがないので開き戸に比べて省スペース

ハンガードアを設置するメリットの一つに、横スライドのため、開閉に必要なスペースの小ささがあります。

一般的な開き戸は、扉を前後に動かすため、その分のスペースを確保しなければなりません。しかし、ハンガードアは左右にスライドするだけなので、わずかなスペースでも設置が可能です。

そのため、狭く限られたスペースにも設置しやすく、廊下に面した部屋の出入り口や、狭小スペースの扉などにも適しています。またハンガードアは開閉時に扉が邪魔にならないため、扉の近くに配置しても、スムーズな開閉が可能です。スペースを有効活用できるので、デッドスペースを抑えられた省スペースで済みます。

床部分のレールがいらない

ハンガードアの設置のメリットには、床部分のレールの設置が不要なことも挙げられます。

床部分のレールが不要だと、段差がなくすっきりとしたデザイン面と、またオフィスや工場・倉庫での台車通行も安心という使用性にメリットがあります。レールの溝にほこりやごみが詰まることも起きないので、スムーズに扉の開閉ができたり、掃除がしやすかったりすることも期待できるでしょう。

スムーズで静かな自閉

電力など自動力を使わずとも、低荷重バネの力で開閉する「スプリング方式」や、レールに傾斜をつけ、自重でドアが閉まる「傾斜レール方式」は、軽く引くだけで開けることができ、通過後はゆっくりと自閉します。

ドアを開く際、戸尻に押しこむことで全開状態を維持できるホールドオープン機能やエアブレーキによるスピード調整機構にも対応します。

バリアフリーな作り

バリアフリー化できることも、ハンガードアを設置するメリットの一つです。

ハンガードアを設置すると、床部分にレールがないため、つまずいて転倒する原因になる段差が生じません。これにより、車いすやベビーカー、杖などを使用している高齢者や体の不自由な方の移動がスムーズになります。その結果、病院や福祉施設などで安全で快適なバリアフリー空間を作れるでしょう。

さらに、ハンガードアは開閉に必要な力が少なくて済むことも大きな特徴です。そのため、手や腕の力が低下している方でも、少しの力で扉を開閉できます。自分の力で開閉しやすいので、指を挟んでしまうリスクも軽減され、介助者の負担軽減が期待できることもメリットの一つです。

 

病院の施工型パーテーションのスライドドア

 

5.ハンガードアのデメリット

 基本的にはメリットの多いハンガードアですが、一部デメリットもあります。ここでは、ハンガードアを検討するに当たり知っておくべきデメリットを3つ紹介します。

コストが高い

ハンガードアを設置するデメリットの一つは、コストの高さです。

ハンガードアは、扉のパネルの重さを支えるために、頑丈な部品を使用する必要があります。そのため、一般的な引き戸と比べて、比較的コストが高めになる傾向があります。

また扉のパネルを吊るすレールのタイプによって、設置の際に壁の補強工事が必要になるケースもあるでしょう。そのため、ハンガードアの導入を検討する際は、予算に見合った設置ができるような配慮が必要です。

気密性が低い

気密性が低いことも、ハンガードアを設置するデメリットの一つです。

ハンガードアは、その構造上の特徴から、下の部分に隙間が生じてしまいます。この隙間から冷気や音が侵入するため、冬場の暖房効率や、トイレなどの防音性に影響が出る可能性があります。

ただし、高い断熱性能を持つ建物であれば、冷気の侵入を抑えられるでしょう。

 

工場の施工型パーテーションのスライドドア

 

6.ハンガードアを設置する際の注意点

 パーティションに引き戸を取り付ける際は、設置後の動線計画や扉の開閉スペースを十分に考慮することが重要です。

具体的には、施工前に空間内の主要動線を詳細に把握し、引き戸の設置位置や開閉方向を慎重に計画することが不可欠です。さらに、引き戸の可動域を精査し、什器や設備との干渉、通路幅への影響などを実測データに基づいて検証する必要があります。これにより、機能性と安全性を兼ね備えた最適な施工が実現できます。

 

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7.ハンガードアを設置するならパーテーションラボ

 吊り下げ式のハンガードアを設置すると、扉の開閉スペースが小さい、床にレールを設置しないので溝がない、バリアフリーの空間づくりに適している、などさまざまなメリットがあります。

オフィスや工場、倉庫、病院など様々な施設の新設や移転、改築の際は、目的や使用シーンを踏まえてハンガードアの採用も検討してみましょう。

一方で、ハンガードアにはコストが高い、気密性が低いなどのデメリットもあります。しかし、十分な検討を行えば、デメリットを払しょくした設置が可能です。

ハンガードアを設置する際は、控壁のスペース確保など、注意すべき点もあります。特に、開き戸からのリフォームの場合、壁の取り壊し工事が必要になることもあるため、設置業者との十分な連携が欠かせません。

パーテーションにハンガードア(スライドドア)の設置をご検討の方は、豊富な経験と実績を持つパーテーションラボにぜひお任せください。お客さまのニーズに合ったハンガードアの提案から、確かな技術による施工まで、一貫したサポートを提供します。快適で機能的な空間づくりを実現するためにも、疑問点や予算など、どのようなお悩みもパーテーションラボまでお問い合わせください。

 

パーテーションラボではスライドドアの製造・販売・設計・施工をワンストップでご提供しています。用途に合わせた最適なご提案をいたします。