オフィスレイアウトを作成する際、効果的なシミュレーションを経ると、快適で働きやすいオフィス環境の実現につながります。しかし、オフィスレイアウトの作成には、従業員の動線や適正面積、デスク配置など、複雑な要素を考慮しなければなりません。

本記事では、オフィスのレイアウト作成を検討している方に向けて、ありがちな失敗やレイアウトを決める際の参考になる基準、検討の際のポイントなどを詳しく紹介します。フリーソフトを使ったレイアウトのシミュレーションに関する内容も説明するので、本記事を読んで、後悔しないオフィスレイアウトの作成と実現につなげましょう。

 

1.オフィスレイアウトとは? 

オフィスレイアウトとは、オフィスの空間のゾーニング計画後に行う、間仕切りやオフィス家具の選定、備品配置の計画のことを指します。

オフィスレイアウトは一般的に平面レイアウトで作成しますが、最近は3DCGバースなどを使用して、より具体的に作成するケースも増えています。

 

2.オフィスレイアウトでありがちな失敗 

 

オフィスレイアウトを作成する際、やってしまいがちな失敗にはどのようなことがあるのでしょうか。ここでは、オフィスレイアウトでありがちな例を2つ紹介します。

動線の設計ミス

オフィスレイアウトでありがちな失敗の一つに、動線の設計ミスがあります。

動線とは、空間の中で人や物が移動する経路のことです。使いやすいオフィスレイアウトにするために重要なポイントの一つです。

しかし、オフィスレイアウトに詳しくない人が設計を行うと従業員が動きにくい動線になってしまう場合があります。例えば、ドアと収納棚の距離が近くて扉がぶつかってしまうケースや、通路が狭く通りにくいケースなどです。

このようなオフィスの動線の設計ミスは、従業員の業務効率の低下につながる可能性があるため、十分に注意しましょう。

配置の設計ミス

配置の設計ミスも、オフィスレイアウトでありがちな失敗の一つです。

オフィス環境に必要な空間の配置に過不足が生じると、全体的に使いにくい空間になってしまいます。そのため、レイアウトを作成する前に、必要なスペースの大きさや配置を把握しておくことが大切です。例えば、従業員数に基づいたスペース配分や、各部屋の使用頻度に基づいた位置関係、職務ごとに必要なスペースなどです。

このように、オフィスレイアウトを作成する際は、どのスペースを何の用途に、どれくらい割り当てるのかを総合的に判断するようにしましょう。

 

3.オフィスレイアウトの適切な「基準」

 オフィスレイアウトを決める際の参考となる基準として、「従業員一人当たりの適正面積」と「動線の寸法目安」があります。それぞれについて詳しく解説します。

従業員一人当たりの適正面積

オフィスレイアウトを決める際に参考になる基準の一つは、従業員一人当たりの適正面積です。

一般的な事務所空間では、従業員一人当たりの適正面積は2坪が基準とされています。デスクや書棚、パーテーションなどのオフィス家具は、この基準に基づいて適切に配置すると失敗しにくいでしょう。

ただし、効率性だけを重視するのではなく、ゆとりのある空間づくりも大切です。オフィス内に全体の約70%の余白を確保すると、従業員の心理的な負担が軽減され、働きやすい環境につながるとされています。

動線の寸法

機能的なオフィスレイアウトに仕上げるには、動線の寸法目安に従うことも大切です。

理想的とされている寸法目安では、デスクスペースは縦700mm×幅1200mm程度を基本として、従業員が座って作業するスペースは400mm程度の余裕が必要とされています。また、オフィスの通路の理想的な寸法目安は、従業員1人が通りやすい幅は800mm程度、すれ違いがスムーズにできる幅は約1350mm以上です。

従業員の業務効率を高め、働きやすいオフィスにするためにも、寸法目安を意識したレイアウトにしましょう。

 

4.主なオフィスレイアウトの種類

オフィスレイアウトのシミュレーションを行う際、基本的なデスクの間取りを理解しておくことも大切です。

オフィスで採用されているデスクの間取りには、主に以下の5つがあります。

  • 向かい合わせレイアウト
  • 背中合わせレイアウト
  • 一方向レイアウト
  • 独立レイアウト
  • 自由席レイアウト

空間の大きさや、重視する内容に合ったオフィスレイアウトを選ぶようにしましょう。

向かい合わせレイアウト

従業員が向かい合うレイアウトです。コミュニケーションを重視するオフィスに向いています。このレイアウトは比較的スペース効率が良く、小規模なオフィスでも採用しやすいですが、従業員同士が私語をしやすい環境になるリスクもあります。

背中合わせレイアウト

業務チーム別にブースを作り、デスクとデスクを背中合わせにするレイアウトです。このレイアウトは、従業員同士が向き合わないため、業務に集中しやすいのが特徴です。一方で後ろを向けば他の従業員とのコミュニケーションが取れるため、チーム間での連携にも向いています。一般的に、面積の広いオフィスで採用されることが多いです。

一方向レイアウト

デスクを同一方向に設置して、従業員全員が前方を向いて業務を行うレイアウトです。従業員同士の私語が発生しにくく、集中力の向上が期待できます。こちらも、面積の広いオフィス向きのレイアウトになっています。

独立レイアウト

独立レイアウトはデスクをパーテーションなどで区切って独立させるため、高い集中力を要する職種に適しています。必要に応じてパーテーションの高さを調節すれば、従業員の孤立を防いでコミュニケーションを促進しやすいでしょう。

自由席レイアウト

「フリーアドレス」とも呼ばれるレイアウトで、近年注目を集めているレイアウトです。このレイアウトでは、従業員一人ひとりの固定席を設けず、柔軟な座席を選べることが特徴です。社内のコミュニケーションが促進されるなどの効果も期待できるでしょう。オフィススペースの有効活用が可能ですが、個人用ロッカーの設置が必要となるなど、他のリソースの確保も必要です。

 

5.オフィスレイアウトを検討する際のポイント 

 

 

快適なオフィス空間を作るには、以下の5つのポイントを意識してレイアウトの検討やシミュレーションを行いましょう。

  • オフィスの面積
  • 組織体制や従業員数
  • 部署ごとの業務内容
  • 収納に必要な容量
  • インターネットのネットワーク回線数

オフィスのレイアウトを作成する際には、まず利用可能な床面積や既存の設備配置を把握し、基礎データを整理しておくことが重要です。組織体制や従業員数を考慮し、従業員一人当たりの適正な面積を確保するとともに、今後の採用計画や人事配置の変動にも対応できるように計画を立てましょう。

また各部署の業務内容に応じた適切な座席配置も欠かせません。例えば、従業員同士のコミュニケーションを重視する部署はオープンなレイアウトにし、集中が求められる部署には間仕切りを設けるなどの工夫が求められます。収納についても、必要な保管容量を算出し、効率的な収納システムを確保することが重要です。

さらに、インターネット環境の整備も考慮し、適切なネットワーク回線数を確保するとともに、コンセントの配置を工夫することで、業務効率の向上を図ることができます。

 

6.オフィスレイアウトのシミュレーション方法 

 オフィスレイアウトのシミュレーション方法には、手書きで行う他に、アプリやフリーソフトを活用した方法もあります。

手書きでは、オフィスレイアウトの作成担当者が、ホワイトボードや紙とペンなどを使い、チームと相談しながらシミュレーションができます。執務スペースやミーティングエリアの配置など、大まかなレイアウトのイメージ共有に適しているでしょう。

またスマートフォンやタブレットで使用できるアプリを使えば、外出先からもシミュレーションが可能です。チーム全員が時間や場所を問わずアイデアを出し合える環境が整いやすくなります。

より具体的なシミュレーションには、パソコンのフリーソフトが便利です。詳細なプランニングは業者に任せた方が無難ですが、社内でもしっかりとレイアウトを固めておきたい場合には有効でしょう。ただし、完璧を求め過ぎると計画が進まない原因となるため、あくまで補助ツールとしての活用がポイントです。

フリーソフトと有料ソフトの違い

一般的に、オフィスレイアウトの設計に活用できるソフトウェアには、無料のものと有料ものとがあります。

フリーソフトは、レイアウト作成に必要な基本的な機能のみを備えているのが特徴です。デスクや書棚などの基本的なパーツを使い、シンプルな配置図を作成できます。無料なので、コストをかけずに気軽にレイアウトを検討したい方におすすめです。

一方、有料ソフトには、豊富なパーツライブラリと3D機能などが備わっています。このような機能を活用すれば、より具体的なプランニングができるでしょう。またチームメンバーとの共有機能があれば、複数人での検討もスムーズに進みやすくなります。

このように、用途や予算に応じて、無料ソフトと有料ソフトを使い分けることで、効率的なオフィスレイアウトのシミュレーションが可能になります。

オフィスレイアウト用のフリーソフト

オフィスレイアウト用のフリーソフトを選ぶ際は、操作のしやすさやテンプレートの多さ、3D表示機能の有無などを吟味して選ぶのがおすすめです。

また使用するパソコンのOSとバージョンの互換性もあらかじめ確認しておく必要があります。パソコンによって利用できるソフトが異なる場合が多いため、要注意です。

フリーソフトを使ったオフィスレイアウトのシミュレーションの注意点

フリーソフトを使用してオフィスレイアウトのシミュレーションを行う際は、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。

フリーソフトでは精緻なシミュレーションを行うことは難しいため、作成したレイアウトは実際の建物寸法と異なる場合があります。そのため、フリーソフトに頼り過ぎると、細かな誤差が積み重なり、オフィス家具の配置やドアの開閉などに支障をきたす可能性があるので注意が必要です。

より正確なオフィスレイアウトの作成やシミュレーションを行いたい方は、専門知識を持ったプロへの依頼を検討しましょう。長期的な視点で見ると、プロに依頼するとコストパフォーマンスが向上する可能性もあるので、無料相談などのサービスを積極的に利用しましょう。

 

7.理想のオフィスレイアウトを実現するならパーテーションラボ

オフィスレイアウトやシミュレーションを成功させて理想のオフィス空間にするには、動線設計や適正面積の確保、デスク配置の工夫など、多角的な視点からの検討が不可欠です。基本的なシミュレーションにはフリーソフトを活用できますが、理想のオフィスレイアウトを検討している方は、ぜひパーテーションラボへお任せください。

パーテーションラボでは、より効率的な動線の理想のオフィス空間を実現するために、豊富な知識と経験を持つスタッフがサポートします。お客さまのニーズに合わせた最適なレイアウトプランのご提案から、レイアウトに必要なパーテーションの選定や見積もり、施工工事の手配まで、一貫したサービスの提供が可能です。快適で生産性の高いオフィス空間は、企業の成長を支える重要な基盤となります。お客さまの理想のオフィスを実現に向けて、どのような内容でもご相談ください。

 

 

パーテーションラボでは、「業務効率アップ」「ブランド強化」といった目的をお客様と共有。その実現に向けて専門家がチームを組み、オフィス内のゾーニングや導線設計など本格的なオフィスレイアウトを行っています。

 

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