オフィスを壁で仕切らずに、開放的な一つの空間として使用する「オープンオフィス」。

近代的なオフィスの姿として知られているオープンオフィスの導入に伴って普及したのが、社員の固定席を作らずに好きな席を選んで仕事ができる「フリーアドレス」です。

現在、ハイブリッドワークや在宅勤務など新しい働き方を採用している企業が増えており、オフィスが果たす役割や必要性も変化してきました。社員の働き方の変化に合わせて、柔軟に対応できるオフィス環境を整えたい企業も増えています。

本記事では、オフィスのフリーアドレス化を検討している方に向けて、フリーアドレスを導入すると得られるメリットや注意点などを詳しく解説します。

 

1.フリーアドレスとは

社員の固定席を作らずに好きな席を選んで仕事ができる「フリーアドレス」です。

 

フリーアドレスとは、社員がオフィスに固定席を持たず、座りたい席を自由に選べる環境のことです。

書類や文房具などは共有のキャビネット内や個人のロッカーに保管し、ノートパソコンやスマートフォン、無線LANなどを活用して仕事を行います。固定席が存在しないため、その日の仕事の内容や気分によって好きな席を選べるのが特長です。

 

2.フリーアドレス導入の背景

 近年オフィスにフリーアドレスが導入されている背景には、働くスタイルの変化やテクノロジーの変化などが挙げられます。

ここではそれぞれの背景を詳しく見ていきましょう。

 

働くスタイルの変化

フリーアドレス導入の背景に、働くスタイルが多様化していることがあります。

これまで主流の働き方は、社員がオフィスへ出社して固定席に座り、決められた勤務時間内に仕事を行うものでした。しかし近年は出社と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」や、働く時間や場所を自由に選択できる「ABW(Activity-Based Working)」など、働き方が多様化しています。新型コロナウイルスの流行をきっかけに、在宅勤務を推奨する企業も増加しました。

このような働くスタイルの変化を背景に、社員全員の固定席を用意する従来のオフィスから、働く時間や場所にとらわれないフリーアドレスを採用する流れができています。

テクノロジーの進化

テクノロジーの進化もフリーアドレス導入を加速させている理由の一つです。

これまで主流の働き方では、社員の席にデスクトップパソコンと電話機を置き、紙ベースの書類や資料を引き出しから取り出しながら仕事をするのが一般的でした。

しかし現代では ICT(情報通信技術)が進化し、無線LANが整備されスマートフォンやノートパソコンなどのモバイルツールが普及しました。テクノロジーの進化により紙の書類はデジタル化されてクラウドで管理されるなど、時間や場所に関係なくいつでも情報にアクセスできる環境が整ってきています。

またインターネットに接続すれば、どこにいてもWebミーティングに参加できるプラットフォームを活用する企業も少なくありません。そのため、社員は基本在宅勤務を行い、必要なときのみ出社する働き方が可能になり、フリーアドレス導入の加速の要因になっています。

 

3.フリーアドレスの目的

フリーアドレスをオフィスに導入する目的には、スペースの有効化や社員間のコミュニケーションの促進などがあります。

 

フリーアドレスをオフィスに導入する目的には、スペースの有効化や社員間のコミュニケーションの促進などがあります。

ここではそれぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

 

オフィス内のスペースを有効活用する

フリーアドレスでは、限られたオフィスのスペースを有効活用できます。

先述の通り、フリーアドレスは社員全員のデスクを配置する必要がありません。そのため、営業職が多く、日中に外出している社員が多かったり、在宅勤務をする社員が多かったりするオフィスはデスク数を減らすことが可能です。

その代わりに、業務に集中できる個別ブースや防音効果のあるミーティングブースを設置すると、使用しないスペースを有効に活用でき、社員の業務効率も上がります。

社員間のコミュニケーションを生む

フリーアドレスは社員間のコミュニケーションを促進する目的もあります。

固定席だと、部署やチームなど組織的なまとまりでデスクのレイアウトを行うのが一般的です。毎日同じ社員の隣に座るため、会話などコミュニケーションの内容が限定的になりがちでした。

しかしフリーアドレスでは、部署やチームの垣根を超えてさまざまな相手の隣で仕事ができるため、社員間のコミュニケーションの活性化が期待できます。

 

4.フリーアドレスにするメリット

オフィスをフリーアドレスにすると、社員間で新しいアイデアが生まれたり組織変更への柔軟な対応ができたりするなど、多くのメリットがあります。

 

オフィスをフリーアドレスにすると、社員間で新しいアイデアが生まれたり組織変更への柔軟な対応ができたりするなど、多くのメリットがあります。

ここではフリーアドレスから得られるメリットを4つ見ていきましょう。

 

新しいアイデアの創造を促進

オフィスをフリーアドレスにするメリットの一つは、新しいビジネスアイデアの創造を促進できることです。

先述の通り、フリーアドレスは部署やチームにかかわらず、誰の隣で仕事をしても良い環境です。そのため休憩時間などのタイミングで、普段関わっていない業務を担当する社員と会話をする機会も多くなるでしょう。部署やチームを超えた社員間で会話をすると、これまで見えていなかった視点や情報に気付くことがあります。その結果、会話を通して業務の悩みの解決や、業務に生かせる新しいアイデアを得たりするきっかけが生まれやすくなります。

組織変更への柔軟な対応

フリーアドレスにすると、組織変更の際に柔軟な対応ができるのもメリットの一つです。

従来のオフィスでは、部署やチームの人数に合わせたデスクや固定電話の配置が必要だったため、組織変更のたびにレイアウト工事が必要でした。しかし、フリーアドレスでは社員と席が結び付いていないため、組織変更の際のレイアウト工事が不要になります。

また、社員の移動や増減に伴うレイアウト工事や座席変更のアナウンスも不要になるので総務の仕事を削減できるのも良いメリットでしょう。

社員の自律性向上

社員の自立性の向上が期待できるのも、フリーアドレスのメリットの一つです。

社員が抱えている業務の内容は日々変化します。そのため、一人で集中して作業をしたいときは個室を選び、アイデアを出し合ったり社員とコミュニケーションを取ったりしたいときはオープンな席を選べます。

このように、デスクを主体的に選べるフリーアドレスは、オフィスで働く社員の仕事環境への満足度や業務への意欲を向上させる効果が期待できるでしょう。

オフィス環境の美化

フリーアドレスはオフィス環境の美化につながるのもメリットの一つです。

フリーアドレスはオフィス空間を社員全員で共有します。そのため、社員の私物やゴミなどを席に置きっぱなしにしない習慣が身に付き、オフィスの環境美化の意識が高まりやすくなります。

またフリーアドレスにすることで、社員個人が抱える書類のストックなども減るため、オフィス全体がすっきりとした環境になりやすいのも良い点です。

 

5.フリーアドレスにする際の注意点

 オフィスをフリーアドレスにする際は、どのような注意点があるか知っておくとトラブルを防ぎやすくなります。

ここでは、フリーアドレスの注意点を4つ見ていきましょう。

 

席を探すのにストレスを感じる

フリーアドレスでは、オフィスに出社している社員が多いと空席が見つかりにくく、ストレスを感じてしまうケースがあります。

社員数に見合った席が用意されていないフリーアドレスでは、出社人数が多いとオフィスが混雑してしまいます。せっかく出社したのに空席が見つからなかったり、個室や集中スペースに空きがなかったりすると、仕事がしにくくストレスを感じやすい環境になる可能性があるので注意が必要です。

社員の在席情報の把握が困難になる

上司の目線から、同じ部署やチームの社員がどこに座っているか把握がしにくいのも、フリーアドレスで注意したい点の一つです。

例えば、チームメンバーに意見を聞きたいときや電話要件の取り次ぎがあるときなどで話したい相手がどこに座っているか分からないと、意思疎通に時間がかかってしまいます。

また社員の座席管理が困難になるので、社員の出社率や在籍状況を管理するのが難しくなるのもフリーアドレスで注意したい点の一つです。

荷物の管理が難しくなる

フリーアドレスのオフィスでは、社員一人ひとりの荷物の管理が難しくなることにも注意しておきましょう。

従来のオフィスでは、固定席の引き出しや備え付けの棚などに荷物を保管していました。しかしフリーアドレスでは荷物を都度移動させる必要があるため、管理方法を負担に感じてしまう社員も少なくありません。荷物置き場への往復や片付けにかかる時間などを考えると業務効率が落ちたと感じる方もいるでしょう。

集中力の低下につながる

社員のコミュニケーションが活発になる反面、雑談が多くなり集中力が低下するのも、フリーアドレスで注意したいことの一つです。

社員の雑談が増えると、業務に遅れが出たり周りの声が気になり業務に集中できない社員が出てきたりする可能性があります。

社員の往来が自然と増えるフリーアドレスでは、社員の集中力が散漫になると、会社全体の生産性が下がりやすいことも覚えておきましょう。

 

6.フリーアドレスの抱える課題を解決するには?

前述したフリーアドレスのオフィスが抱える課題を解決するには、どのような方法があるのでしょうか。

ここではフリーアドレスのオフィスが抱える課題の解決方法を3つ紹介します。

 

フリーアドレスの目的を共有する

社員にフリーアドレスを導入する目的を共有すると、フリーオフィスの環境を生かして社員の生産性を向上しやすくなります。

従来のオフィスに慣れている社員は、フリーアドレスの環境に対して「自分の席がなくなり居場所がない」や「上司や部下の居場所が分からず不安」などネガティブな印象を抱いてしまうことがあります。そのため、フリーアドレスの導入で果たそうとしている目的に注目し、社員全員の目線合わせをしておくことが重要です。

例えば、あらかじめ社内アンケートを取り、社員が感じているオフィスの改善ポイントを洗い出します。改善ポイントから社員の意見を抽出した結果、解決方法の一つとしてフリーアドレスのオフィスを導入するなら、目的がはっきりして社員が不安になりにくいでしょう。

またフリーアドレスの導入前に、社員の賛同をきちんと得ることも大切です。社員一人ひとりがオフィスの改革に参画している感覚を持てると、フリーアドレスの導入に賛同しやすく、環境の変化を受け入れやすいでしょう。

ツールやシステムを導入する

フリーアドレスが抱える荷物管理や在籍情報の把握課題は、ツールやシステムを導入して解決しましょう。

例えば、社員の荷物を収納できるロッカーを設置すると、個人のパソコンや書類、筆記用具などの荷物を社内で管理しやすくなります。日々必要のない物はロッカーに置いておけるので、全ての荷物を都度持ち運ぶ手間も省けます。

フリーアドレスを利用している社員の人数や位置情報を把握するには、位置情報を可視化できるツールの導入を検討しましょう。在宅勤務をしている社員から座席の使用者や使用率が見えるツールを使用すれば、業務の取り次ぎにかかる時間の短縮や、出社率のコントロールにもつながります。

簡易的に空間の大きさを変更できるパーテーションを導入する

フリーアドレスによる集中力や生産性の課題は、簡易的に空間の大きさを変更できる間仕切りを導入して解決しましょう。

オフィスに社員が必要なときに使用できるローパーテーションがあると、集中して仕事に取り組みたいときに便利です。

卓上に置いて使うタイプのパーテーションも、移動させやすいのでおすすめです。

パーテーションを使うと、周囲の視線や音を遮って仕事に集中しやすい空間をすぐに作れます。フリーアドレスの環境で急なWebミーティングを行う際も、間仕切りを使えば周りの社員に配慮しながら仕事ができます。

 

7.まとめ

 フリーアドレスとは、近年の働き方の変化やテクノロジーの進化から生まれた比較的新しいオフィス環境の在り方です。

そのため既存のオフィスにフリーアドレスを導入する際は、メリットとデメリットの両方をきちんと理解しておくことが大切です。フリーアドレスを導入する目的を社員と共有し、必要に応じてツールやシステムをうまく使いながらオフィス環境を整えていきましょう。

パーテーションラボでは、フリーアドレスのオフィス空間を効果的に仕切れるさまざまな種類の可動式間仕切りを取り扱っています。吸音素材のデスクパーテーションなら、周囲の気になる音や視線を遮りながら仕事やWebミーティングに集中できます。

フリーアドレスを導入する際に間仕切りを活用して機能的なオフィスを作りたいと考えている方は、ぜひパーテーションラボにお問い合わせください。

 

フリーアドレス、オープン形式のオフィスは良いの?悪いの?

 

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