オフィスの引っ越しや退去に伴い、オフィス家具やパーテーションなどの処分が必要になることがあります。一般のごみと異なり、パーテーションを破棄する際は「産業廃棄物」として扱われることをご存知ですか。産業廃棄物は、法律に定められた正しい方法で処分する必要があります。

この処分方法を守らずにパーテーションを処分すると、産業廃棄物処理法違反となり、罰金や行政指導などのペナルティを受ける可能性があります。そのため、オフィスオーナーや管理者は、不要になったパーテーションの正しい処分方法を理解しておきましょう。適切な処分を行うと、法的なリスクを回避できるだけではなく企業の社会的責任も果たすことになります。

本記事ではオフィスの移転や退去に伴うパーテーションの処分を検討している方、またはオフィスにパーテーションを導入しようと検討している方に向けて、パーテーションの処分方法や種類、処分の流れ、依頼先などを詳しく紹介します。本記事を読んで、施工型パーテーションの正しい処分方法への理解を深め、処分の際に役立てましょう。

 

1.オフィスのパーテーションは産業廃棄物であることが一般的

オフィスのパーテーションは産業廃棄物であることが一般的

 

一般家庭で使用する目的で設置されたパーテーションは、正しい分別方法を行えばごみとして処分が可能です。しかしオフィスや店舗、学校などで使用されているパーテーションは、産業廃棄物処理の許可を持つ専門業者に依頼して処分する必要があります。

一般的に、パーテーションはスチールやガラス、アルミニウムなどの素材で作られており、産業廃棄物としての処分が必要です。しかし、木で作られたパーテーションは例外に当たり事業系一般ごみとして処分が可能なケースもあります。そのため、パーテーションを処分する場合は自治体に問い合わせて適切な方法に従うことが大切です。

 

オフィスから出る廃棄物の区分

オフィスから出る廃棄物の区分

 

オフィスから出る廃棄物は、廃棄物の処理および清掃に関する法律によって定められています。その代表的な区分は主に以下の2つです。

産業廃棄物

産業廃棄物とは事業活動で発生するごみの中でも「廃棄物処理法」に規定されている20種類を指します。それぞれのごみは、定められた特定の処分方法に則ることが必要です。

廃棄物処理法では、産業廃棄物は「燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」だと定義されています。廃棄を依頼する企業の業種によっては、その他の物が産業廃棄物に該当する場合もあるため注意が必要です。

※参考:e-GOV法令検索.「廃棄物の処理および清掃に関する法律」.(参照2024-08-20)

事業系一般廃棄物

一般廃棄物の中でも、事業活動によって発生した廃棄物を「事業系一般廃棄物」と呼びます。ごみの大小や種類にかかわらず、家庭ごみと同じ集積所には出せないので注意しましょう。

オフィスや店舗などで日常的に発生する紙や段ボール、ファイル、シュレッダーくずやコピー用紙などがこの区分に該当します。

 

家庭廃棄物としての処理は違反行為

オフィスから出る廃棄物は、どの区分であっても各自治体のルールに基づいて適切に処理する必要があります。

廃棄物の種類や指定業種を正しく確認せずに処分すると違反行為となり、罰則や罰金が科されることがあるので注意が必要です。廃棄物処理法の規制を正しく理解し、適切な方法で処分できるようにしましょう。

 

2.オフィスで使用されるパーティション例

ここでは、オフィスで使用されるパーテーションの例を3つ紹介します。それぞれの特徴を見ていきましょう。

卓上パーテーション

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、デスクの上に置くタイプの「卓上パーテーション」が広く普及しました。商業施設のレジや受付に置かれている透明なアクリル素材の卓上パーテーションを目にした方も多いでしょう。

卓上パーテーションには布製の物もあり、オフィスで社員が仕事に集中するための個別スペースの確保や、オンラインミーティング時の音の反響防止に活用できます。必要に応じてデスクの上を間仕切りできるため、社員の業務効率の向上や職場環境の改善に役立ちます。どのようなデスクスペースでも、置くだけで簡単に使用できる手軽さが魅力です。

ローパーテーション

「ローパーテーション」は床に直接置いて使用する、天井よりも低い高さのパーテーションで、さまざまな高さの製品があります。

ローパーテーションを使用すると、オフィス全体のオープンな空間を保ちながら、簡易的な空間を作り出せます。吸音素材のパネルを使ったローパーテーションを選べば、ミーティング時の声や雑音を吸収してオフィス内の音の問題にアプローチする間仕切りを行うことも可能です。ローパーテーションはオフィス内の移動も容易なため、必要に応じて使い分けができて便利です。

ハイパーテーション

床から天井までの高さがある「ハイパーテーション」は、施工型パーテーションとも呼ばれています。

ハイパーテーションは一般的にスチールやガラス、アルミニウムなどの素材でできており、設置や撤去には専門の業者による工事が必要です。ハイパーテーションを使用すると、オフィス内に会議室や応接室、社長室など機密性の高い個室を確保できます。そのため、計画的にオフィスの間仕切りをして個室の機能を高めたい方におすすめです。

 

3.卓上パーテーション・ローパーテーションの処分の流れ

オフィスで使用した卓上パーテーションやローパーテーションを移転や転居に伴い処分する際、その扱いは「事業ごみ」となります。ここでは、卓上パーテーションやローパーテーションを処分する流れを詳しく紹介します。

 

パーテーションの素材を確認する

前述の通り、パーテーションによって廃棄物の区分が異なるため、まずは素材がどの区分に該当するか確認しましょう。

パーテーションの素材が主に木や布でできている場合、「一般廃棄物」として粗大ごみ扱いで処分が可能な場合があります。自治体によってはパーテーションを回収していなかったり、重量制限があったりするケースもあるので、事前に規定を確認しておきましょう。また、粗大ごみの申し込み手順は以下の通りです。

1.電話やインターネットを通じて粗大ごみ処理の申し込みを行う
2.最寄りのコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの指定店で手数料納付券のシールを購入する
3.手数料納付券に氏名や受付番号などの必要事項を記入し、パーテーションに貼る
4.指定された日時に回収場所へ出す

パーテーションがスチールやガラス、アルミニウムなどの素材であれば「産業廃棄物」として自治体のルールに従った処分が必要なので注意しましょう。

適切な業者に処分を依頼する

産業廃棄物に当たるパーテーションは、適切な業者に処分を依頼する必要があります。

処分の依頼先にはいくつかの選択肢があり、詳細は後述します。産業廃棄物の定義や処理方法の内容に不明な点があれば、自治体や廃棄物処理業者に問い合わせて相談すると安心です。

パーテーションを分別・保管する

正しい処分方法が分かったら、パーテーションを分別して保管しましょう。

事業ごみの排出事業者は、パーテーションの分別・保管を適切に行うことで、環境への負荷を軽減して資源の有効活用に貢献する必要があります。特に産業廃棄物は、専門業者に引き渡す前に正しく分別して適切な場所で保管しておくことが求められます。事業主として、責任を持ってパーテーションの分別や保管を行いましょう。

業者へ引き渡し、適切に処分されたかを確認する

産業ごみの排出事業者には、パーテーションを処理業者に引き渡した後も、処分が完了するまで処理状況を確認する努力義務があります。

環境省が発表しているガイドラインによると、産業廃棄物の適正な処理は社会の持続可能な発展に不可欠です。重大な環境リスクを避けるため、排出業者は廃棄物が適正に処理されているかの確認を行って責任を果たすことが求められます。

※参考:環境省.「廃棄物の処理および清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)」.(参照2024-09-02)

 

4.ハイパーテーションの処分の流れ

ハイパーテーションは解体工事が必要になるため、卓上パーテーションやローパーテーションとは処分の流れが異なります。ここでは、ハイパーテーションの処分の流れを見ていきましょう。

 

業者に解体工事を依頼する

オフィスの移転や転居に伴いハイパーテーションを処分する際は、まず解体工事が可能な業者に依頼します。

解体工事のみを行う業者や中古ハイパーテーションの買い取りや販売を行っている業者など、さまざまな選択肢があります。それぞれの業者が提供するサービス内容や費用が異なるため、気になる業者があればリストアップして比較・検討を行いましょう。

現地調査を行い見積もりを取る

ハイパーテーションの解体業者を選定したら、実際に現地調査を行って見積もりを取りましょう。

一般的にハイパーテーションの解体・撤去・処分には解体作業費に加えて搬出費、養生費、車両運搬費、廃棄処分費などが含まれます。そのため事前に見積もりを取り、どれくらいの費用がかかるかを把握しておきましょう。

またパーテーションの解体工事を行う建物の搬出経路の煩雑さによって、追加費用が発生したり、高額になったりするケースもあります。現地調査にはできるだけ同行し、費用の詳細を確認しながら見積もりを取ると安心です。

工事日時を決定し関係者に周知する

ハイパーテーションの解体業者が決定したら、工事日程を決定して関係者に連絡をします。

解体工事ではドリルなどの作業音が発生するため、同じ建物内のテナントに配慮して夜間や休日の時間帯に工事を行うのが望ましいです。建物によって工事の時間帯が定められているケースも多いので、ルールに従うようにしましょう。

建物のオーナーや管理者、関係者にも解体工事を行うことを連絡しておくと、工事による騒音のトラブルを防ぎやすくなります。

工事に着工する

事前準備が整い、解体業者と契約を結んだらハイパーテーションの解体工事に着工します。

解体工事を行う際は、前日までにオフィス内の周辺物品を移動させて作業しやすい状態を整えておきましょう。解体工事が完了したら、業者にパーテーションの適切な処分依頼も行うとスムーズです。前述の通り、業者へパーテーションを引き渡した後も、適正に処理されているかの確認責任を忘れずに果たしましょう。

 

5.オフィスのパーテーション処分の依頼先

オフィスのパーテーション処分は産業廃棄物処理の専門業者に依頼

オフィスの移転や退去に伴ってパーテーションを処分する際、どのような会社に依頼すれば良いか迷う方も多いでしょう。ここでは、使用済みのパーテーションを産業廃棄物として適切に処分できる依頼先を5つ紹介します。

 

産業廃棄物処理の専門業者に依頼

オフィスのパーテーションを産業廃棄物として処分する際、産業廃棄物処理の専門業者に依頼する方法があります。専門業者を選ぶ際は、以下の3つのポイントに気を付けて選ぶようにしましょう。

・「産業廃棄物収集運搬業」の許可を持っていること
・マニフェスト(産業廃棄物管理表)や産業廃棄物処理委託契約書など適切な書類の発行に対応していること
・処分可能な物、料金、作業内容が明確に示されていること

産業廃棄物の処理を委託する際は、きちんと契約書を締結するようにします。委託契約書には、産業廃棄物の数量や処理にかかる金額だけではなく、収集運搬や処分の方法の詳細もまとめておくと安心です。また「マニフェスト」は産業廃棄物の処分状況を確認する際に必要になります。パーテーションの処置が適正な方法と順序で進んでいることを確認するため、事前に入手しておきましょう。

地域ごとにさまざまな産業廃棄物処理専門業者が存在するので、上記のポイントをカバーできる業者をインターネットで検索するのが効果的です。自治体のホームページなどに信頼できる業者の名簿が掲載されていることもあるので、参考にするのも良いでしょう。

またパーテーションの種類や設置状況によっては、解体作業や運搬が可能かどうか事前確認が必要な場合もあります。その都度、業者に問い合わせて明らかにしておきましょう。

不用品回収業者に依頼

オフィスで使用したパーテーションを処分する際、不用品回収業者に依頼するのも一つの方法です。

一般的に、不用品回収業者はパーテーションの解体や運搬など回収作業を一括で行うことが多く、手間がかからずスムーズに処理できます。また、オフィスの移転や退去に伴って発生する不要なオフィス家具や家電、小物などもまとめて回収・再利用してくれる業者もあります。

さらに、一部の不用品回収業者は中古品の買い取りサービスも提供しており、パーテーションの状態が良ければ買い取ってもらえ、処分費用を抑えることが可能です。

ただし、不用品回収業者の中には無許可で営業する業者も存在するため、選定の際には注意が必要です。インターネットの口コミやWebサイトの情報を過信せず、業者が「産業廃棄物収集運搬業」の許可を持っているかしっかりと確認しましょう。

万が一無許可の業者に依頼をしてしまった場合、不用品回収依頼をした事業主も不法投棄の罪に問われてしまう可能性があります。事業主としての責任を果たすためにも、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

中小企業の場合は自身で処分場へ搬入も可能

中小企業であれば、自治体の廃棄物処理場に産業廃棄物を直接持ち込むことも可能です。

産業廃棄物を持ち込む自治体によってルールや条件が異なるため、素材や大きさ、重さなどに制限がないか事前に確認しておきましょう。

ただしパーテーションを自身で処分場に持ち込む際は、トラックの手配やオフィスからの運び出し、積み降ろしなどを自分で行うことになります。運搬時の建物の養生対応や運搬コストの計算など、事前にするべきことをリストアップして計画しておくと、スムーズに進行できます。

東京23区などでは「あわせ産廃」制度も適用可能

東京23区にあるオフィスなどであれば、パーテーションの処分に「あわせ産廃」の制度の適用が可能です。

あわせ産廃とは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物をまとめて処理できる制度です。現在は東京23区や熊本市などで導入されており、複数の廃棄物を一度に処理できるので業務の効率化が期待できます。

ただし制度の利用は一定の基準を満たした事業者に限られているため、事前に自治体の担当窓口に問い合わせ、制度の適用可否を確認しておきましょう。また持ち込み可能な産業廃棄物の量にも制限があるので、こちらも合わせて確認しておくと良いでしょう。

パーテーション施工会社に依頼

オフィスのパーテーションの処分には、施工会社に依頼する方法もあります。

特にハイパーテーションの場合、解体工事が可能な業者を選ぶと工事がスムーズです。業者によっては、ハイパーテーションの撤去だけではなく、産業廃棄物のリサイクルにも対応していることがあります。リサイクル可能な業者であれば、卓上パーテーションやローパーテーションの処分もまとめて依頼でき、効率的にオフィスの移転や退去を進められます。

 

6.パーテーション処分の依頼先を選ぶポイント

オフィスの移転や退去に伴うパーテーション処分の依頼先を選ぶポイントには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは2つのポイントを紹介します。

 

産業廃棄物収集運搬業の許可を取得している業者を選ぶ

パーテーション処分の依頼先を選ぶ際には、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得している業者を選ぶことが重要です。

前述の通り、無許可で稼働している業者に依頼をしてしまった場合、事業主が不法投棄などの罪に問われるリスクが高まります。

公益財団法人産業廃棄物処理事業新興財団が提供している「産廃情報ネット」や、各自治体のホームページを利用して信頼できる業者を選びましょう。適切な業者を選べば、法令に準拠した安全な処理が行え、トラブルを未然に防げます。

適切な費用・サービスかどうか見極める

パーテーションの処分の依頼先を選ぶ際には、処分費用だけでなく、提供されるサービス内容が適切かどうかの確認も重要です。

パーテーションの処分には、解体費用や運搬費用、産廃処分費などのコストが加算されることも少なくありません。また、処分するパーテーションの大きさや量によりコストが変動するケースもあります。事前の現地調査や処分費用の見積もりを行わずに依頼をすると、予想外の額を請求されてしまうこともあるでしょう。

そのため、事前にパーテーション処分のサービス内容を細かく確認し、適切な費用か、予算に見合った額かどうかなどを見極めることが大切です。

 

7.まとめ

オフィスの移転や退去に伴いパーテーションの処分をする際、多くの場合は産業廃棄物として適切な処分が求められます。オフィスの移転や退去時は他にも多くのタスクを同時進行する必要があるため、信頼できる専門業者に依頼して法律に基づいた適切な処分をしてもらうことをおすすめします。

パーテーションラボは、グループ会社のアイピックエコシステム株式会社などが産業廃棄物収集運搬業許可を持ち、リサイクル法に基づく家電製品の運搬処理業務(リサイクル券の照合、リサイクル品の積込/運搬、リサイクルプラントへの持ち込み、廃プラ類の回収)や産業廃棄物の収集運搬業務(廃棄物の収集運搬、マニフェストの発行)なども一括して行っています。オフィス家具や家電など、パーテーション以外にも処分が必要な物が多く、どこから手を付ければ良いか分からない方は、ぜひパーテーションラボまでお問い合わせください。専門知識を持つスタッフが、スムーズな産業廃棄物やオフィス家具の回収をサポートします。

オフィス移転・退去に伴うパーテーションの処分や、新しいオフィスへのパーテーション施工を考えている方も、ぜひパーテーションラボへお問い合わせください。お客さまのニーズに合ったサービスを提案し、環境にも配慮した廃棄物処理をお手伝いします。

 

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