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目次
狭い空間でも、レイアウト次第で機能的な小規模オフィスが設置できることをご存じでしょうか?
限られた空間でも有効活用すると、費用を抑えながら、機能的なオフィス空間を実現できます。
本記事では、オフィス空間が狭くてレイアウトに悩んでいる方に向けて、小規模オフィスならではのメリットやデメリット、ゾーニングのポイントなどを解説します。
小規模オフィスのレイアウト例も紹介するので、これから小規模オフィスの導入を検討している方は、本記事を参考にしてください。
最初にですが、小規模オフィスに明確な定義はありません。
しかし、一般的には数名~十数名程度の少人数の社員が企業活動を行う、比較的小さめのオフィスを指します。
一般社団法人日本ビルヂング協会連合会の定義では、延床面積1,000坪(3,300㎡)未満が小規模ビルとして扱われています(※)。この限られたスペースの中に、社員が働く勤務ゾーンや収納、会議スペースなどを効果的に配置したものが小規模オフィスです。
※参考:一般社団法人日本ビルヂング協会連合会.「「ビル実態調査」(全国版)調査結果の概要」.(参照2024-11-26)
小規模オフィスのメリットには、具体的にどのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを4つ解説します。
小規模オフィスのメリットの1つ目は、費用を抑えながらオフィス空間を持てることです。
一般的に、オフィスの賃料は、スペースの平米や床面積などで決まります。その点で、小規模オフィスは低賃料に収まりやすく、初期費用も比較的安くなりがちです。
また、オフィス空間が小さいと、購入やレンタルをするデスクなどのオフィス家具やOA機器の数も少なく済みます。さらに、オフィス全体にかかる光熱費などのランニングコストを抑えやすいのも魅力です。
小規模オフィスのメリットの2つ目は、コンパクトで統一感のあるオフィス空間を作りやすいことです。
小規模オフィスの空間に設置できるオフィス家具や什器などは、数が限られるため、色や雰囲気を統一して、バランスの良いおしゃれな空間をデザインしやすくなります。また企業カラーを取り入れると、企業の特徴を反映した統一感のあるオフィスに仕上がるでしょう。
小規模オフィスのメリットの3つ目は、社員同士の顔がよく見えるため、コミュニケーションの活性化につながりやすいことです。
小規模オフィスでは、社員同士の物理的な距離が近いため、ちょっとした相談やアイデアの共有がしやすく、仕事がスムーズに進みやすくなります。また、社員の座席が固まって配置されることも多く、自然とチーム連携を図ることができます。
このように、社員同士のコミュニケーションが活性化すれば、結果として、企業全体の業務効率の向上も期待できるでしょう。
小規模オフィスの4つ目のメリットは、オフィスのレイアウトを比較的自由に変更できることです。
小規模オフィスは社員の座席数が少ないため、レイアウト変更が容易です。そのため、一人ひとりの意見を反映した、自由なレイアウトを考えることができます。社員の業務へのモチベーションや、企業全体の生産性の向上も期待できるでしょう。
一方で、小規模オフィスには、いくつかのデメリットもあります。
まず、小規模オフィスは空間が小さいため、閉塞感や圧迫感があると感じる社員は少なくありません。また、社員がリフレッシュできる休憩スペースやリラックスできるコーナーを設けにくい場合もあり、その結果、仕事の合間に気分転換がしにくく、企業全体の生産性に影響を与えてしまう可能性があります。
このように、小規模オフィスには、物理的にかなわないポイントもあるでしょう。そのため、オフィスのレイアウトに工夫を加えて、ゆとりを持たせた空間作りを心掛けることが大切です。
小規模オフィスの限られた空間を有効活用するには、レイアウトが重要です。ここでは、レイアウトを決める前に終えておきたいポイントを2点紹介します。
まず、オフィスのコンセプトを明確にしましょう。
小規模オフィスでどのような働き方がしたいのか、また、どのような機能性を持たせたオフィスなら、社員の希望する働き方がかなうのかなど、総合的な観点からコンセプトを決めていきます。
コンセプトの例には、「仕事が楽しくなるようなポップで明るい雰囲気のオフィス」「癒しを感じる植物や自然光が豊かなオフィス」「社員同士のコミュニケーションがスムーズなオフィス」などがあります。企業イメージや、企業が目指す姿を反映するのも良いでしょう。オフィスから具体的にどのようなメッセージを発信したいかを考え、言語化するのがコツです。
コンセプトがはっきりと定まると、オフィスの家具の色や素材を選ぶ際の決め手になる他、後のレイアウト構成がしやすくなるなどのメリットもあります。
次に、オフィスの広さや社員数などの情報を基に、組織体制を整理しましょう。
レイアウトの構成に必要な情報には、オフィスの広さや社員数、組織体制、部署ごとの業務内容、電気配線の位置などが含まれます。これらの情報をあらかじめ確認しておくと、レイアウトのアプローチがしやすくなります。
特に電気配線の位置などは、きちんと確認せずにレイアウトを決めると、結果的に仕事がしにくいオフィスになる可能性もあるので注意が必要です。
小規模オフィスの導入・設置の際は、ゾーニングの工程も重要です。ゾーニングとは、オフィス空間のどこにどのような機能を置くのかを設定する作業を指します。ここでは、ゾーニングの際に気を付けたいポイントを4つ解説します。
小規模オフィスのゾーニングを行う際は、事業所衛生基準規則に定められた数値に従いましょう。
事務所衛生基準規則第二条によると、社員1人当たりに必要な気積(室内の空気の総量)は、10m³以上とされています(※)。この気積を社員1人当たりに必要な面積に換算すると、一般的なオフィスの天井高を2.5〜2.6mと仮定した場合、10m³ ÷ 2.5m = 4m²です。
このスペースが狭過ぎると、規則違反になるだけではなく、社員のストレスの原因になってしまいます。小規模オフィスでは社員の人数に応じてオフィスの面積を決定し、適切な気積を確保できるようゾーニングしましょう。
※参考:厚生労働省.「事務所衛生基準規則」.(参照2024-11-26)
小規模オフィスでは、共有スペースを有効活用できるようなゾーニングを行うことも大切なポイントの一つです。
一般的に、小規模オフィスは社員の業務デスクに多くの面積を割くため、共有スペースを複数の用途に使えるようにする必要があります。
例えば、休憩、飲食、応接など、状況によって共有スペースを使い分けられるレイアウトにするなどです。キャスター付きの椅子や、折り畳み式のテーブルなども活用し、臨機応変に空間を使用できるように工夫しましょう。
間仕切りの方法を工夫するのも、小規模オフィスにおけるゾーニングのコツの一つです。
小規模オフィスに造作壁を作ると、スペースを圧迫する恐れがあります。そのため、必要なときだけ取り出せる可動式のパーテーションや、可視性の高いガラスパーテーションを活用すると、空間を圧迫せずに効果的な間仕切りができます。
また、収納が付いたキャビネットなどを間仕切りとして活用するのも良いでしょう。キャビネットは、社員が着席した状態で視線を遮らない低めの物がおすすめです。
小規模オフィスのゾーニングを行う際は、法令に違反しないよう気を付けるのも、重要なポイントです。具体的には、消防法や事務所衛生基準規則があります。
・事務所衛生基準規則:「社員1人当たりに必要な気積」は前述の通りです。
・消防法:天井までの高さがあるハイパーテーションで、欄間(らんま)が空いていない間仕切りを設置した場合、「個室」と見なされるケースがあるため、所轄の消防署への手続きが必要です。ゾーニングによって、火災報知器やスプリンクラーなどの消防施設の新規設置が求められる場合があります(※)。
※参考:e-Gov法令検索.「消防法」.(参照2024-11-26)
小規模オフィスで社員の業務効率やモチベーションを向上させるには、どのようなレイアウトが効果的なのでしょうか。ここでは、小規模オフィスにおすすめのレイアウトをいくつか紹介します。
小規模オフィスのレイアウトの中でも、定番のスタイルが「対面式レイアウト」です。対面式は、複数のデスクを向かい合わせに配置してグループ(島)を作ります。一般的に、部門やチームごとに配置を行うため、島型・対向型とも呼ばれています。
対面式レイアウトのメリットは、社員同士のコミュニケーションが取りやすいことです。社員がお互いの顔を見ながら会話ができるため、チームワークを重視する組織に適しています。またデスクを密着させることで、オフィスの専有面積を小さくできるのも魅力の一つです。
さらに、対面式レイアウトは、電話線やパソコンの配線などを通しやすく、部署やチーム単位での区切りが付けやすいのも特徴です。
デスクを一方向に設置し、社員が同じ向きで業務をするレイアウトを「同向式レイアウト」と呼びます。
同向式レイアウトのメリットは、社員個人の集中力を高められることです。他の社員の視線を気にせずに業務に没頭できるため、個人的に行う業務の多い組織に適しています。また、デスクを等間隔に置くので、スペースを無駄なく使用できるのも良い点でしょう。
社員個人の集中力を重視して、効率的に業務を進められるオフィスにしたい場合は、同向式レイアウトがおすすめです。
デスクを壁に向けて設置し、社員同士が背中合わせて業務を行うスタイルは「背面式レイアウト」です。
背面式レイアウトのメリットは、個人の業務に集中しやすい上、他の社員とのコミュニケーションが取りやすいことです。正面に人がいないので、周囲の視線や雑音を気にせずに業務に取り組めます。また後ろを振り返れば、同僚や上司と容易にコミュニケーションが取れるので、利便性にも優れたレイアウトです。また、間の空間を活用して簡易的な打ち合わせスペースを設けることもできます。
このように、背面型レイアウトは、社員の集中力とコミュニケーションのバランスを取りたいオフィスにおすすめです。
営業や出張など、外勤の社員が多いオフィスでは「フリーアドレス」を導入するのも良いでしょう。
フリーアドレスとは、社員の定席を設けずに、空いているデスクスペースを自由に選んで仕事をするスタイルを指します。フリーアドレスは、社員全員分のデスクを用意しなくてもよいため、スペースが限られている小規模オフィスに適したレイアウトです。デスクを使用している社員がいないとき、他のことにスペースを活用できるのもメリットです。
また、さまざまな人と隣に座って業務を行う可能性があるため、社内のコミュニケーションが促進されやすいのも、フリーアドレスの魅力の一つでしょう。
小規模オフィスでは、オフィス家具が空間の雰囲気を大きく左右します。そのため、オフィスの新規開設やリノベーションなど、家具選びの際はこだわりを持って検討することが大切です。
企業のコンセプトや働き方に合わせた家具を選ぶと、出勤が楽しみになるような、快適なオフィス作りにつながります。
例えば、「社員が落ち着いて業務に取り組めるオフィス」がコンセプトであれば、オフィスの家具を木目調で落ち着いた色味の物でそろえると良いでしょう。反対に、「ポップで元気が出るようなオフィス」であれば、鮮やかなアクセントカラーを取り入れた家具を選んだり、机や椅子の形状や素材にこだわったりして選ぶのもおすすめです。
限られた空間を有効活用する小規模オフィスは、初期費用やランニングコストを抑えて持続可能なオフィス運営を可能にしてくれます。
小規模オフィスのレイアウトを決めるには、事前にオフィスのコンセプト設定やゾーニングを細かく行い、法令を遵守した空間に仕上げることが大切です。しかし、法令には複雑な手続きやルールに従うものが多いため、専門知識を持った業者に依頼するのがおすすめです。
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